おおきく振りかぶって 第9話「過去」

 今回のおお振りはかなーり面白かったです。話の内容としてはシニア時代の阿部とその相棒だった榛名の話。阿部が投手と組む上で重要視している要素は何から来ているのかというと・・・という話とそれを受けての三橋の決意、あとはそんな阿部にトラウマを植え付けた榛名の現況といった中々色々詰まっていたエピソードでした。
 先週からおそらくは夏の大会の相手校になるのか、色々な学校が出てきました。まあ全然覚えられなかったんだけど、今週も出てきた三人組の学校がラスボスかもしくは一回戦の相手というところでしょうか。榛名の学校シチュエーション的には県大会のラスボスなんでしょうが、先週に榛名以外は大したことないというのが提示されており、今回も榛名の全力投球を取れないあたりそういう位置づけでは無いんでしょう。
 阿部のシニア時代は自信にあふれた速球ノーコン投手榛名と組み、阿部としては榛名の投手としての力に確かなものを感じており、その剛速球を受けれるようにとキャッチング技術が磨かれ、その自分本意な性格をコントロールしようと奮闘することで投手の操縦法を学んでいったというところですか。しかし中学生の内から組み立てなどに関してはやはり理論派であるところが面白い。
 榛名も阿部のことをある程度認めている様子で、ぶつかりながらもそれなりにバッテリーを組んでいたところ、阿部の心に禍根を残す決定的な事件が。敗色濃厚の試合で榛名がまるでやる気を見せず、それどころかランナーを貯めたところで自分からマウンドを降りてしまう。ずっとバッテリーを組んで努力してきた事に何の意味も無かったと阿部は知り、今の阿部の価値観につながるトラウマとなってしまったのでした・・・。
 ここで面白いのが三橋が自分にかけた言葉の意味を考えて、阿部の心情を察し涙するところ。人の気持ちを分かってやれるというところで榛名の対極として三橋の存在を提示しているわけですな。その後の阿部の笑顔講座が面白かった。
 榛名が一球だけ全力投球を見せたのは、阿部に見せたかったからなんでしょう。武蔵野でのやり取りを見てると榛名自体は悪気の無いDQNであるということが分かります。試合後も阿部に自慢をするためか、とりあえず何か話したくて探していたのだと思います。
 中学のときの同級生と思われる秋丸からの視点では榛名は阿部を捕手として認めていて、時には自慢げに話していたとこのこと、この場面でも「あいつしか俺の球は捕れなかったからな」と阿部の事を自慢するようなな顔で語っています。
 この事を阿部は知ることがないのでしょうけど、こういう側面を阿部が知っていればひょっとしたら今でもこの二人でバッテリーを組んでたのはないかなあとも思います。人の行き違いってのは中々難しいですね。三橋が出会ったのも阿部でなければ今あんなに楽しくやれていないかもしれませんし。
 今回特に光っていたのは阿部と秋丸の二人の視点から見た過去と現在の榛名というキャラクターの違い。速球の演出、毎回最終回のような後を引く終わり方など優秀な脚本と演出を感じます。
 僕は原作は読んでないのですが、原作のアニメ化はとかく減点法で語られがちです。原作アニメに定評のある京アニなどは、この減点法への対処が上手く、とにかく点を引かれないような作り方を心がけている感じがします。それだけにプラスアルファをもたらすことも余りありませんが。
 おお振りなども原作ファンからどう評価されているかは知りませんが、物語のテンポと主人公回りのキャラクターの演出、掛け合い、作画や背景などは相当な高レベル。原作をある面で陵駕するような銀魂のようなアニメになって欲しいですな。
 それには原作を読まないと評価できない面もありますが、アニメが面白いんで原作読んで先の話を知るのが怖いです。
 次回「ちゃくちゃくと」