機動戦士ガンダム00 最終話「刹那」

 疑似太陽炉を7つ搭載しているという無茶MA「アルヴァトーレ」との決戦から最終話はスタート。話中ではエクシア+GNアームズ対アルヴァトーレと、キュリオス対ジンクス二機の戦闘を交互に描くという飽きさせない構成です。特に前半にエピソードを使いすぎたため、後半では存在感を失っていたアレルヤがラスト二話で大活躍。キャラクターを遊ばせないあたり良いアニメです。
 おそらく00中でアリーやグラハムと並び恐らく最強クラスのパイロットであるハレルヤも、アルヴァトーレの流れ弾をくらい機体はボロボロ、最早風前の灯火。しかしソレスタルビーイングが追い詰められて行く中、状況を悲観する台詞が目立ったアレルヤもここに来て腹が決まったのか、世界が自分たちの介入行動にどのような答えを出すのか知りたいと生への執着を露にします。ここに来てアレルヤ・ハプティズムの中に眠る二つの人格が遂に共同戦線を張り、髪もオールバックにして両目開眼、うおーカッコいい。
 人格が統一されたアレルヤの戦闘力は正に圧倒的、人革連が編み出した超兵の能力を遺憾なく発揮しセルゲイ中佐とソーマ少尉を圧倒します。「これまでのようには行かないぜ!そうだろハレルヤ!」
 場面は切り替わってアルヴァトーレ対エクシア。この当たり前のアレルヤの戦闘から音楽の効果も相まって戦闘が超カッコいい。特に最初のアルヴァトーレのビームを受け止めシールドが破壊→交差するように現れたGNアームズが射撃→エクシアも射撃→ファング展開、ファングを交わしながらの戦闘のあたりの動画がTVシリーズとは思えない圧倒的な動画。他スタジオがこれに近い事をやろうと思うとCGでやらないととてもおっつかないでしょう。
 GNフィールドとファングなど強力な武装を誇るアルヴァトーレに対しGNアームズとドッキングして戦闘するエクシア。ドッキングするギリギリまでちゃんと射撃による牽制を続けるあたりが小気味いいです。
 GNアームズとドッキングしてからの「狙い撃つ!」の言葉に思わず見てる方も熱くなります。「狙い撃つぜ!」「俺がガンダムだ」など当初は失笑する人も多かった決め台詞ですが、作品中で茶化すこともなく使い続け、終幕が近づいたこの時期にはこの台詞も本物じみた格を帯びてきたといいますか、聞いてる方もかなり自然に聞けます。刹那の狙い撃つという台詞が演出としてちゃんと浮き上がってきています。
 GNアームズになってからはラッセの犠牲はありつつも突貫が功を奏しアルヴァトーレの撃破に成功。エクシアの実対剣は対GNフィールドを想定されたものだそうです。アリーのスローネツヴァイもそういうところがありますね。実際ヴァーチェのGNフィールドを破ってダメージを与えていましたし。
 他方でキュリオスはトランザムを使用しソーマ少尉を撃破、とどめを刺そうという時に視聴者の誰もが想定していたように中佐が割って入り攻撃を受けます。撃て!ピーリス!と檄を飛ばされたソーマ少尉の咆吼と共にキュリオスは大破。ソーマ少尉は追撃をせず中佐の救助に全力を尽くします。「できません!・・・中佐がいなくなったら私は一人になってしまう」とここでセルゲイとソーマの親子コンビファン感涙のシーンと共に幕。また、ソーマ少尉のことをアレルヤは知っている模様。マリーと呼んでいましたが超兵施設時代の仲間なのでしょうか、ただソーマ少尉は強化人間の中ではかつてないくらい良い環境にいるためその当たりは余り気にならないとこですな。
 刹那の戦闘に場が戻り、アルヴァトーレの中には何と金色のジムが!なんという悪趣味・・・。結局太陽炉も一つしか詰んでいないためエクシアトランザムの前にあっさり敗れ去ってしまいました。アムロことリボンズはやはりアレハンドロを捨て駒にしていたようで、彼は独自のプランを持っている模様。
 隠しボスのごとくギリギリで現れたGNフラッグとエクシアの戦闘。ここの掛け合いがまた凄い。グラハムONステージという感じ。「世界を止めて」あたりからパイロット同士が交戦しながら意見をぶつけ合う富野ガンダムさながらの光景が繰り広げられてて終盤のクライマックス感を演出していましたが、果たしてこの最後のグラハム対刹那もラストにふさわしい掛け合いでしたね。
 宇宙に赤と緑の粒子が散り、エクシアと刹那は地球の重力に引き寄せられていきます。刹那は前回手紙を出す人はいないと語っていましたが、マリナにメールを出していた模様。そこでは彼が駆け抜けてきた戦いの中で感じた人はどうあるべきなのかという疑問がつづられています。果たして刹那はこの戦いの中でその答えの一端を見つける事が出来たのでしょうか・・・。
 最後に物語は四年後へ。サジは宇宙で仕事を見つけ、世界は地球連邦の名の下に統一されます。その一方でリボンズは月のCB本拠で何かを企んでいる模様。最後は物語のエピローグと二期のプロローグを兼ねた内容になっていますね。最後に太陽炉を二基詰んだダブルオーガンダムが少しお目見えして区切りとなりました。

 しかし全体を通しての感想としては、1クールが非常に地味な作品でしたが、2クール目の演習→トリニティ登場あたりからの盛り上がりは相当なもので、毎週これを楽しみにして過ごせました。特にラスト三話はシリーズを通しても僕の中で相当上位に入ります。傑作と言って宜しいのではないでしょうか。戦闘シーンは全体を通して圧倒的に好クオリティでした、バンクらしいバンクがなく、ガンダムSEED的な止め絵による大仰な見せ方とはアプローチがかなり違い、似たようなシチュエーションやポーズを取ることもなく飽きずに楽しめましたね。
 まあ二期が楽しみですな!ネーナも生き残ってそれも正規のマイスターになれそうな勢いですわ。