天元突破グレンラガン 第26話「いくぜダチ公」

 いや〜面白かった。第四部に入ってからひたすらに拡大されていくスケール感や仲間の死とは裏腹に第二部や第三部の佳境ほどの盛り上がりは提供出来ていないように見えましたが、今回は本当に素晴らしい回でしたね。
 変身を遂げた超銀河大グレンラガン、その比類なき螺旋力はまさに圧倒的。アンチスパイラルの空母一隻をあっという間に撃破します。もう一隻の母艦からキモく手が生えて惑星のようなものを投げつけて来ますが、螺旋フィールドにより全くノーダメージとのこと、まさにイデバリア級です。
 ところがここはアンチスパイラルの思い通りになる空間(だったよね?)であり、確率変動弾という当たるまで確率を変更してしまう攻撃を繰り出してきます。当たるまでリセットを繰り返してるみたいなもんでしょうか。超銀河大グレンラガンも負けてないもので、敵の存在する未来や過去を含めた全周囲に攻撃をしかけるという理系世界的攻撃を繰り出し、敵を引きずりだすという大技。ここで一話冒頭でも出てきた「メールシュトローム砲」が出てきましたね。
 肩のドリルで空母を合ったという間に殲滅したわけですが・・・、アンチスパイラルの反撃で各員の意識が多元宇宙へ飛ばされてしまいました。多元宇宙の話はエロゲー(ていうかYUNO)や筒井の小説で触れたのを見たくらいで申し訳ないんですが、選択や認識の結果として宇宙が無限に分岐して言っており、それぞれの宇宙が隣接してるとか何とかいう話でしたっけ・・・。
 シモンがいる世界はジーハ村を出たものの獣人に対する反逆は行わず、盗みをして暮らしている様子です。兄貴は視聴者の知る兄貴とはかけ離れたキャラで小物くさく、日々を何となく生きている二人という様子。一方でヨーコの多元世界はヒーローとして活躍してる世界ですが、それだけで言えばあんま変わらない感じですな。
 ここでビックリ。ブータがロージェノムの螺旋力を尻尾から吸収して一話のあの副官に変身。やはりあれはブータが人間化した姿なのか・・・でも螺旋力を行使出来てるところから、いわゆるヴィラルのような獣人とは違うわけですな。
 ここからが本番。獣人の警察に検挙されて土下座で謝るシモン。後ろにはニアの入っていた棺が。ドリルを手探りで探すシモンですが、見つからない。そこでこの声が。
「どうした?シモン」
「なくしちまったのか?ドリル」
と本当の兄貴きたー。ここの兄貴の口上とかがもう最高。俺の無茶に中身を与えてくれたのはお前なんだ、俺の進めに中身を与えてくれたのはお前なんだ!と11話でヨーコが聞かされた話と同じ事をシモンに告げます。兄貴はシモンが自分を支えてくれなかったら、自分は口だけの存在になってしまっていたかもしれないという事を自分で理解しているわけですな。あの土下座して謝ってる兄貴はそういう可能性の一つなのかもしれません。
 俺のドリルは天を突くドリルだ!ということで自分の選択した真実の宇宙を思い出しました。ここで青年シモンと兄貴が並んでるカットがやばいですね、感動しました。いつの間にか背も追い抜かれちまったなっていうやり取りが泣けてくる。最後の死んでいった仲間達と兄貴のカットときたら・・・。
 ヨーコや他の仲間達も多元宇宙からシモンの元に集ってきて、今回のもう一つの見所であるヴィラルの多元宇宙。これもまたやたらと特別なシーンとして作り込まれてますね。草原の中、娘から花の冠をもらい、穏やかにほほえみながら家族と戯れるヴィラル・・・。妻がふと空を見上げたら、そこには一筋の光が。ここでヴィラルは全てを悟り、自分としたことが甘い夢を見ていたようだな、と最後に家族を優しく見つめた後戦士の顔に戻り戦地へ赴くのであった・・・。
 ずっと戦い続けた男が夢見た並行世界は、穏やかな家族とのささやかな一時だったというのが何とも切ないものがあります。獣人はクローンで増殖するため生殖能力が無く、よって家族という共同体も無いわけです。それを考えるとヴィラルにとっては遠くてまぶしい夢だったのかもしれません。可能性としてはロージェノムが生殖能力を与えた世界といったところなのでしょうか。この世界だけはいつかはヴィラルが辿り着いて欲しいと思わせるようなものがありますね。
 そして指輪に座標軸を合わせ、グレンラガンが登場したところでおしまし。ついに次回で最終回です。
 しかし今の展開だと次回でニアを奪還して、これからもアンチスパイラルとの戦いは続いていくという形になりそうな流れですね。一話の冒頭にそして続いていくのかな?