おおきく振りかぶって 第24話「決着」

 今期原作アニメとして有数の完成度を誇った我らがおお振りもついに終わってしまいました。エピソードとしては現在原作の単行本が出てるところまでを消化しきった形ですな。
 まず「決着」。桐青戦の最終回のマウンドに上がる三橋ですが、前年の県王者と8回に渡る死闘を繰り広げてきたわけで、もはや満身創痍の様相。終盤まで隠してきたストレートは相変わらず通用していますが、相手も球筋の特殊性は把握し始めた模様で、完璧でないまでも対応してくるバッターも出てきます、さすが王者。
 それに加え新人チームなのに今までエラーを起こさなかったのが出来すぎ、というくらいの練度を誇ってきた西浦にもエラーが重なり1アウト2・3塁の一打逆転のピンチで相手は四番という場面。
 三橋もこのピンチに心が折れそうになっていますが、阿部の「投げられねえならマウンドを降りろ!」という三橋の投球中毒につけこんだ檄を飛ばし、三橋を半ば無理矢理立ち直らせます。しかし中学時代のトラウマから降りろと言われてもなおマウンドにしがみついてしまう自分の性に自己嫌悪を感じている三橋。ここの演出が素晴らしくて一話冒頭で三星中時代の孤立無援で打たれまくっていながらマウンドにしがみついて投げていたときの演出かぶらせています。原画と音楽が同じなんですね。
 しかしここで違うのは、西浦ではまわりに自分を支えてくれる仲間がおり、9人一蓮托生で戦っているということ。まわりからは打たせろ!サード来いやあ!お前が投げる球ならみんな納得してるぞ!などと三橋に対して自分たちがサポートする、全員で戦っているという意志をはっきりと伝えます。このシーンが素晴らしいですね。アニメ放送のクライマックスにふわさしいカタルシスを見せてます。
 三橋なりに意気を感じ、懇親のストレートを投じ、センターフライからのバックホームでタッチアップを刺し、ゲームセット!勝利です。ここまでパッとしなかった花井による鬼のレーザービーム返球。守備連携が完璧で御座いました。
 ここで美しいのが桐青側の描写。敗北者達にも汗を流した三年間が存在し、負けた側の悲哀が描かれます。桐青側のキャプテンの家族からの期待や励まし、それでも気丈に仲間達を鼓舞し立派な敗者として去っていきます。今日日ここまで立派な高校球児がどれだけいるのか・・・。スポーツマンの鑑です。
 疲れ切った三橋は死んだように寝てしまい、そのまま家に強制搬送。他の選手は帰ってミーティングと練習など王者に勝利した余韻に浮かれることなく夏大会に臨む態度が出来ています。王者に勝利した責任を負う形で西浦高校の夏が始まったのでした。
 最終回「ひとつ勝って」の感想は次回に。